日本では英語を中学校、高校と最低6年間は学びます。大学までいけばたいていの場合、第二言語として英語を学びます。最近の小学校では5年生から英語の授業を開始しています。しかし、日本でどれだけ英語を勉強したとしてもコミュニケーションで使える人は少数派です。
一方、北欧フィンランドでは英語を話せる人が多く、旅行で訪れても街中で困ることはありません。この国は経済協力開発機構(OECD)が行うPISAという学力テストでも毎回上位に入るほど学力が優れた国です。
フィンランド人が英語を話せる人が多い理由と日本とは全く違う教育について今回は取り上げてみたいと思います。
英語に触れる環境面とモチベーションが違う
日本にいると英語が話す機会がない、というよりかは日本人は英語を話す必要性がそもそもありません。大学での高度な教育すらも自分の国の言葉で理解できてしまいます。
会社に入っても、ほとんどの人が日本人だけを相手に取引を行っても十分に経済を回していける環境が日本にはあります。テレビで外国人が話している様子を見ていても、音声が吹替になっている場合も多く、日本語の音声だけを理解すれば内容が頭に入ってきます。
>>【参考】日本人は英語が苦手で話せない理由は明治の人たちの頑張りだった
一方、フィンランドの場合は、人口が約550万人と少なくフィンランド国内だけで経済を回していくことは難しいので、海外との取引をしていく中で新しいものを取り入れたりしなくてはいけません。そのためにはグローバル言語である英語を話す必要があるということですね。
フィンランドでは映画やテレビドラマでも外国、主に英語圏のものが流れていて、吹替はされていません。しかもそれらは英語の字幕がついている場合がほとんどです。英語を聞きながら、英語の字幕を見るという習慣がフィンランドにはあります。
普通に生活をしていて何か新しい、興味のあるものを見聞きするときに英語を聞く、読む、話す、書くという必要性があるということですね。
英語の必要性だとか、言語を学ぶ必要性について面白い動画を見つけたので、こちらも参考にしてみてください。フィンランド人と日本人の方が語っています。
驚くべきフィンランドの学校事情
フィンランドは1991年ソビエト連邦崩壊の影響を受けて、失業率が20%という深刻な経済危機陥りました。この時に国の立て直しに必要なのは、優秀な人材の育成だと考えられたわけです。日本はちょうどバブルが崩壊し始めたころですね。
そこでフィンランドで教育改革が行われます。主な教育改革は次の3つです。フィンランドの教育目標は「良き納税者を育てる」というところにあります。
・学校教育をすべて無料した
・教師の資格を取るのを難しくした
・教育のやり方を各学校に任せた
このような教育改革を行ったことによって、学生の学力が向上しました。
フィンランドの小学校の授業風景
いざ、フィンランドの教室を見てみると、日本のように座学で先生が黒板の前に立つというスタイルではありません。小学校の歴史の授業では生徒は教室のあちこちに散らばって、5つのグループを作り歴史劇を作ったり、ほかのグループはクイズを解いたり、それぞれ別のアプローチでテーマに取り組んでいます。
それらのグループを決められた時間に交代していき、生徒は5つのグループすべてを体験し、コミュニケーション力やプレゼンテーション能力、考える力を養っていきます。
先生は時間の管理と、悩んでいる生徒がいたらヒントを与えるだけです。これは一つの例なのですが、フィンランドでは授業スタイルも教師に一任されています。
ちなみにフィンランドでは校則というものがほとんどありません。服装、髪型、携帯電話の持ち込みなどもすべて自由です。面白い学校でのルールとしては気温がマイナス22度以上であれば外で遊ぶように促されます。
フィンランドの教育制度
フィンランドでは大学までに入学試験はなく、塾もほとんどありません。なんなら宿題すらもほんの少ししかありません。親から宿題をもっと出して欲しいと頼まれても断っているというところもあるようです。
しかも、子どもの集中力を持たせるために週の授業時間は20時間とかなり短めです。月~金と考えると一日の授業時間は4時間ですね。
にもかかわらず、2003年のOECDの学力テストPISAでは1位を獲得し、学力自体は伸びています。しかし、近年では中国、シンガポール、韓国、そして日本などのアジア勢にトップを譲っています。
これに関して、フィンランドの先生はフィンランドの学力が落ちているわけではなく、他の国の学習レベルが上がってきていると考えているという意見もあります。実際にフィンランドではPISAのための勉強をしているわけではないようで、子どもの将来のために勉強した結果がPISAに影響を与えているだけだとあまり気にしてはいません。
さらに、学校を開設し、授業料を取るのは違法とされているため、フィンランドでは私立の学校はほとんど存在しません。しかし、公立学校の教育はどこで受けても均一でレベルの高い教育を受けることが可能なのです。
まとめ
最後の動画をご覧になった方は分かると思いますが、フィンランドの教育を紹介しているこの動画ではアメリカとフィンランドの教育を比較しているところもあります。
アメリカでは将来的に必要ではない公民の授業少なくなったり、音楽や美術の授業時間も減らされているそうです。さらに、アメリカ出身の教師の話では、アメリカでは教育はビジネスだと言い切っています。
これほど極端ではありませんが、日本の教育もアメリカに近いところはあるような気がします。
以前、ゆとり教育が話題というか問題視され、その後、廃止されました。個人的にはゆとり教育賛成の立場でした。詰め込み式の教育の利点も分かりますが、これまでの古い教育制度を踏襲するべきではなく、自分で考えて行動できる人間を育てるべきだと思います。
ゆとり教育というネーミングもどうかと思うのですが、従来の授業の時間を3割カットして総合的な学習の時間で自発性や問題解決能力を養うのがゆとり教育の目的です。
ゆとり教育が廃止され、古き良き詰め込み教育に戻したことで、本来総合的な学習の時間で学べたことがますます各家庭に依存する形となり、教育格差が広がるかもしれません。
フィンランドと日本では規模が違うことや、先生の経験に差があるとは思いますが、社会に出たときに必要な教育がされるのであれば、フィンランド式の教育を少しでも導入する方が日本の将来にとっては良い気がしてなりません。
教育について、あなたはどう考えますか?
コメントを書く