日本人がヨーロッパで最も移住しやすいオランダは、今も100年以上前の条約が生きている。

日本人がヨーロッパで最も移住しやすいオランダは、今も100年以上前の条約が生きている。

オランダと言えば風車、チューリップ、サッカーが強い、平均身長が世界一、マリファナが喫茶店で合法になっている、チーズがおいしい、などのイメージがあります。

江戸時代、日本は鎖国をしていましたが唯一オランダとだけは貿易をしていました。またこの時代には、「蘭学」といって、オランダを通じてヨーロッパの学術を研究していたこともあります。

江戸期には注目を集めていたオランダが今は移住先として注目を集めています。ではなぜオランダに移住する日本人が増えているのでしょうか。

オランダ-アムステルダム

日本人の移住希望先は1位がハワイ

そもそも、日本人が希望する移住先としては、アジアの周辺諸国や北米が多くなっています。ヨーロッパに関しては9位フランスの一つだけです。しかし、ここ数年、オランダに移住する日本人は3割近く増えています。

●日本人の移住希望ランキング
└1位:ハワイ
└2位:マレーシア
└3位:オーストラリア
└4位:タイ
└5位:シンガポール
└6位:フィリピン
└7位:アメリカ本土
└8位:ニュージーランド
└9位:フランス
└10位:カナダ

●オランダに移住した日本人の数
└2008年:6407人
└2016年:8136人

日本人移住者が増えている理由

その理由としては、日本人の場合、4500ユーロ(約60万円)の保証金を支払い、起業すればオランダのビザを取得することができます。つまり、ビザの取得が簡単なので日本人移住者が増えています。

しかし、日本人以外はこんな簡単にビザは取れません。

EU以外の人がオランダに長期滞在するのは本来、非常に難しいことです。しかし、日本とオランダの間には1912年に自由に貿易ができる条約、「日蘭通商航海条約」が結ばれていて、それが今も有効となっています。そのため、日本人は特別に優遇されているというワケです。

今も有効な「日蘭通商航海条約」

・日蘭通商航海条約 第一條

「旅行居住スルコト、修學研究ヲ爲スコト、生業職業ニ從フコト及生産製造ノ業ヲ營ムコトニ關スル一切ノ事項ニ付總テ最恵國ノ臣民又ハ人民ト同一ノ基礎ニ置カルヘク」

この条文には『最恵國』という文字がありますが、これは日本人が最も優遇措置をうけることができるという意味です。2008年にオランダで裁判があり、この条約が今も有効であるという判決がなされたため、オランダで個人事業主として働く日本人が増えています。

家族で移住するにも環境面が良い

移住者でもだいたいの小学校は無料、地域の選挙も5年以上住むと選挙権があります。医療も社会福祉もすごく整っている国であるため、移住先としては良い環境です。

スーパーに行くと、オランダでは農業大国なので、野菜や果物が安いことが分かります。イチゴは1kgで6ユーロ(約780円)、日本人には馴染みがありませんが、チコリという野菜だと450gで59セント(約80円)で販売されています。チーズは種類も豊富で、試食してから購入する事もできます。

●オランダの小学校事情

日本人が運営する小学校を紹介してくれるエージェントもあるので、そこを通じて好きな小学校を選択することができます。

ある小学校では、自主性を最大限に尊重するような教育が行われています。日本とはまったく違った授業スタイルです。授業の様子を見てみるとプリントをしている子供もいれば、野菜を切っている子供がいたり、絵を描いている子供もいて、子供たちが自主的に考え、先生はそのサポートに回ります。

別の公立小学校ではバイリンガル教育をベースに国際的な教育している学校もあります。オランダの母国語はオランダ語ですが、英語が堪能な人も多い。オランダ語と英語だけでなく、その他の言語を話し、3カ国語、4カ国語、5か国語を話す人も珍しくありません。

まとめ

オランダでは、ビジネスの場面でほとんどの人が英語を話すことができるので、オランダ語をすぐに学ぶ必要はありません。ただ、英語は日常会話レベルくらいは話せないと移住した時に苦労すると思うので、語学は英語をしておくとよいでしょう。

海外と聞くと一昔前はテレビで見るもの、最近までは旅行でいくところでしたが、世の中は変わりつつあり、移住する人も増えています。海外に住むということは、ある程度、覚悟や志を持った人でなければいけませんが、そういった人が増えているということは国境という壁が低くなっているということですね。

もし、移住をしようと考えるのであれば、移住先としてオランダを検討してみるのはいかがでしょうか。