フィリピン留学に興味があって、フィリピンの公用語は英語というのは分かったけど、そもそもどんな国なのでしょうか?
ここでは、歴史や国民性、衛生事情、通信環境など様々な観点からフィリピンがどういう国であるかを紹介していきます。
フィリピンの地理・国土
フィリピンは日本から南南西の方角、太平洋にある東南アジア諸国のひとつです。日本からは飛行機で約4時間のところにあります。
国土面積は日本の約4/5という大きさで、大小様々な島から構成され、その数はなんと7109存在しています。主な島としてはルソン島、ミンダナオ島、セブ島、レイテ島、サマー島などがあります。国土の多くを活火山や熱帯雨林が占めています。
首都はルソン島にあるマニラです。マニラはフィリピン最大の都市で、政治・経済の中心となっていて、約1,270万人(全人口の約12%)が住んでいています。第二の都市はミンダナオ島のダバオ、次いでセブ島のセブシティ、ミンダナオ島のサンボアンガという順です。
フィリピン留学で有名なセブ島はリゾート地としても有名ですが、アジアだけではなく欧米諸国からも多くの観光客が訪れる場所です。
歴史
フィリピンはインドや中国から文化的な影響を受けていましたが、14世紀ごろにはイスラム教が伝来し、イスラム国家だったスールー王国が建国されました。
しかし、1521年にスペイン王国でかの有名なマゼランが率いる船団が来て、スペイン王国の実質的な支配下におかれキリスト教へと改宗しました。それから3世紀に渡って、スペインの影響を受け続けることになります。
1898年、アメリカとスペインの間で米西戦争が起こります。アメリカはフィリピンの革命勢力と手を組み、スペインからの独立を約束するも、米西戦争でアメリカが勝利した後もフィリピンの独立を認めませんでした。これに怒った革命勢力とアメリカで戦争となりましたが、軍力にかなりお差があり、結果としてフィリピンはアメリカの植民地となります。
1942年、第二次世界大戦中、日本軍がアメリカ軍を追い出し、首都マニラを占領したことをきっかけに、日本軍の施策下でフィリピンの現地政権が発足しました。日本の敗戦後、フィリピンは主権を回復し独立を果たしています。
『フィリピン』という国名は16世紀のスペイン統治時代にスペイン皇太子フェリペの名前に由来しています。
言語
フィリピンは多民族国家です。そのため、フィリピン国内では約80もの言語が存在しています。公用語はタガログ語を基礎としたフィリピノ語、そして英語です。
各地域で話されている言語は日常的に使用されていますが、公的な場、例えばマスコミ・教育・行政サービスとったところでは英語が主に使われています。
フィリピンの国の政策で、労働力の海外輸出や英語サービス事業の拡大を目指しているため、英語力の強化は国を挙げて取り組んでいます。国語以外の授業をすべて英語で実施している小学校も少なくありません。
国民全体の識字率も95%を超えていて、教育が国全体に行き届いています。
気候
熱帯性気候に位置していて、11~5月は雨がほとんど降らない乾季、6~10月は午後から夕方にかけて突発的なスコールがよく起きる雨季です。
年間の平均気温は26~27℃で、一年中ほとんど気温は変化しません。暑くて高温多湿、特に3~5月は暑さを感じます。その他の月は比較的過ごしやすい温度で、たいていの人はTシャツや短パンという軽装で過ごしています。
標高の高いエリアでは平均気温は20℃前後であるため、長袖が必要になってきます。ほとんどのエリアではブランケットのような薄い布で就寝できますが、標高の高い場所では厚みのある布団が必要です。
フィリピンは台風の通り道に位置しているので、10月後半~11月末頃までは大きな台風の影響を受けることもあります。
民族・国民性
2016年現在で、人口は約1億330万人です。マレー系の人が多数派で、その他に中国系、スペイン系、そして混血や多くの少数民族で構成されています。
人口は1億人を超えていますが、若い人が多いこともフィリピンの特徴です。平均年齢は約24歳(日本の平均年齢は約46歳)ですが、平均寿命も約68歳と決して低い数字ではありません。
フィリピンの国民性は家族をとても大切し、情に厚く、フレンドリーです。一方でプライドが高く、人前で怒られたり、馬鹿にされたりすることをとても嫌がります。
相手の落ち度があって何か問題が起きた場合は、大勢の人の前ではなく、個別に指摘してあげると納得し対応してくれます。観光でどこかを巡ったり、留学に行く際は、彼らのプライドを傷つけないようにしましょう。
また、彼らは大きな声で怒鳴られると感情の抑制がうまくできなくなることがあるため、フィリピン人と大声で言い争うのは危険です。
宗教
スペイン入植中に改宗が進められた経緯があり、東南アジア唯一のキリスト教国です。国民の83%がカトリックで、その他のキリスト教を信仰している人もいます。毎週日曜日は教会に行って、教会の行事に参加するなど敬虔なキリスト教徒が多いのも特徴です。
全人口の5%ほどはイスラム教のムスリムの人たちもいますが、ほとんどがミンダナオ島の一部で生活する人たちです。信仰の違いから一部の過激派と政府の間で対立が続いていましたが、1993年に停戦合意をしています。
経済
世界銀行の発表によると、フィリピンの国内総生産は3049ドルで世界第39位で、ここ数年で倍増しています。経済成長率は近年約6%(日本は約1%)と高い水準を推移していて、他の東南アジア諸国に比較しても経済が発展している国です。
過去の主要産業は農業でしたが、近年では国民の英語力を活かし外国企業からコールセンター業務をアウトソーシングするサービスで経済を発展させています。GDPの半分以上はコールセンターのアウトソーシング産業を中心とするサービス業です。
その他にも、海外企業で勤務し、外貨を稼いでくる労働者もたくさんいます。
通貨・物価
フィリピンの通貨はフィリピン・ペソです。2018年9月現在で1円=2.08ペソ、1ペソより低い通貨を計算する場合は、センタボという単位を使用します。紙幣の最高額は1000ペソです。
フィリピンの物価は日本の約1/3程度で、タクシーの初乗りが約40ペソ、映画が約250ペソ、夕食でお酒を飲んだ場合も250~500ペソほどです。
シャンプーやトイレットペーパー、歯ブラシなどのフィリピンで生産された商品は日本と比べるとかなり安い価格で買うことができますが、世界的に有名な海外メーカーの商品は日本で購入する場合と変わらない値段です。
食事
フィリピン料理は、中華料理とスペイン料理がベースとなっています。主食はお米で、スパイスが利いた料理も多いですが、他の東南アジア諸国と比較してもトウガラシなどの辛味成分をそれほど使用していないため、辛いものが苦手な人でもフィリピン料理は受け入れやすいです。
フィリピンは周りが海に囲まれているため、魚介類が豊富でヨーロッパ風のブイヤベースもよく食べられています。肉類に関していえば、豚、アヒル、ニワトリ、ウシなど種類が豊富です。
野菜は日本のように生野菜を食べる習慣はあまりなく、炒めたり、煮たりすることが多いです。
フィリピンでよく飲まれているのはコーヒーやジンジャーティー。アルコールはビールがよく飲まれています。
衛生面
東南アジア諸国と聞くと、衛生面は気になるところだと思いますが、実際に行ってみると気になるところをあまり感じないでしょう。語学学校では清掃員が常時いるため、ホテルのように清潔さが保たれているところがほとんどです。
しかし、『水』だけは注意したほうよいでしょう。水道水は浄水施設がそこまで整備されている環境ではないため、おなかを壊してしまう可能性があります。露店で売っている食べ物は水道水が使われている場合もあるので、お腹の弱い人やフィリピンに行ったばかりの人は避けた方が無難です。
また、歯を磨くときにもミネラルウォーターを使った方が良いでしょう。口をゆすぐだけでも、お腹を壊す学生もたまに見かけます。ほとんどの学校には飲料用のウォーターサーバーが設置されているため、水を飲む場合はそれを飲むようにしましょう。
マニラのような都市部や高級ホテルを除くと、トイレットペーパーを流すことができません。備え付けのゴミ箱を利用することになりますが、語学学校では清掃の回数も多く、清潔で快適な環境を維持する工夫がされています。
交通事情
フィリピンの交通事情はよくありません。信号があまり整備されていないこと、交通ルールが徹底されていないことからセブやマニラなど都市での渋滞ラッシュは日常茶飯事です。
特に通勤時間の朝7~9時、夕方18~19時頃は交通量が多く、渋滞から抜け出すために2~3時間かかる場合もあります。
タクシーやバスに乗る際は、この時間帯をなるべく避けた方が無難です。また、現在では経済の発展から地方都市でも車を持つ人が増えていて、渋滞の頻度が増しています。
インターネット環境
通信環境は急速に発達していて、都市部ではヨーロッパと同じようにカフェやショッピングモールなどの公共の場で無料WiFiを利用できます。ただし、回線スピードは日本のように速くはありません。
動画や高度な画像など重いデータのやりとりや映像配信・視聴はあまり期待できません。しかし、近年では都市部を中心に徐々に通信環境も改善されつつあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?日本から4時間程度でいけるフィリピンですが、お国柄は日本とはかなり異なっているように感じます。しかし、英語が通じる国であるため、欧米の観光客からも人気の場所です。
フィリピン留学や観光を考えている方に是非とも参考にしていただければと思います。
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