幼児の英語教育はいつからすべきか?-ダブルリミテッドというリスク

幼児の英語教育はいつからすべきか?-ダブルリミテッドというリスク

私は普段、インターナショナルスクールを含む保育園のマネージャーをしています。

いつくかの保育園を運営する中で、英語を学ばせたい親は増加傾向だと感じています。

確かに、幼児期に子どもが英語を習得することについて、メリットは間違いないくあります。

しかし、親が子供に学ばせたい気持ちが強く、子どもの成長と親の希望が合致していないケースもあります。

英語教育に集中するあまり、子どもに必要な成長ができていないのです。

 

子育てをするうえで、親御さんが気づいていないこともあるかと思います。

保育園というところでは、そのことに気づいていても、なかなか家庭にまで踏み込めないケースも多いと思います。

そこで、この記事が幼児の英語教育をしようと思っている親の皆さんの一助になればと思い、記事を書いていきます。

保育現場の声をお聞き頂き、子育ての参考になれば幸いです。

幼児の英語教育はいつからすべきか

幼児期に英語を覚えるメリット

幼児期に英語を覚えるメリットから説明していきます。

保育現場で見ている限り、幼児から英語教育をすことに関しては賛成です。

発音・聞き取り能力が高い

幼児期に英語を覚えることによって、発音が良くなり、聞き取る能力も高くなります。

いわゆる英語脳を作ることが容易にできます。

 

幼児期の子どもは見て、真似て言語を習得していくのだと保育現場を見ていると実感します。

やはり、ネイティブやバイリンガルの先生の話を聞いて、真似るのがとても上手です。

そうやって英語を覚えていくので、4、5歳児の発音はすごく綺麗だなと感じることが多いです。

 

まだまだ、英語を使い切れるというわけではないですが、発音は上手だなと思います。

英語劇をすると子どもたちの発音・聞き取り能力の高さにビックリさせられます。

自然と覚えることができる

学問としてではなく、自然に英語を習得でき、話せるようになること。

遊びの一環として、覚えることができるので、勉強して覚えるという感覚はないでしょう。

 

私自身が30歳を過ぎて英語学習を始めて、思考錯誤をして英語を話せるようになりました。

この時は文法や単語といったことを中心に覚えたので、それなりの努力が必要でした。

一方、子どもであれば英語を英語として覚えることができます。

 

会話や遊びの中で英語を覚えていくので、ネイティブが英語を覚えるような感覚です。

無理なく自然と身につけられるのは英語教育を幼児期にするメリットです。

幼児の英語教育はいつからが良いか

結論から言います。

4歳児以降で日本語でしっかりとコミュニケーションができるときが最もよいと考えています。

幼稚園で言えば、年中クラス(4月1日の時点で4歳、誕生日が来たら5歳になる子ども)です。

なぜなら、その頃には母語(日本語)でしっかりと会話ができるようになっているからです。

 

母語がしっかりできるようになってから英語を始めるのはデメリットをなくすためです。

英語に力をいれすぎると、母語が育たないため、言語によるコミュニケーションが取れません。

言葉が使えないと英語も育たないのです。

 

もちろん言葉の成長に関しては個人差があります。

なので、何歳からが良いというハッキリした基準はないです。

日本語でコミュニケーションができるようになれば英語を初めても良いと思います。

 

ちなみに、0歳~2歳児に関しては、まったく必要がないと感じています。

言葉よりも先に、歩けるようになったり、食事を一人でできたり、他に学ぶことがあるからです。

3歳児に関しては、言葉のできは個人差が最も現れやすい時期です。

日本語の習得が早ければ、英語教育をしても良いと思いますが、やらない方が無難です。

ダブルリミテッドというリスク

ダブルリミテッド(セミリンガル)をご存知でしょうか?

英語も日本語も少し話せるが、その年齢の子どもが話せるレベルに至っていない現象です。

幼児期に英語教育に力を入れすぎてしまうと、子どもがこの状態になる可能性を秘めています。

 

実際に、3歳児の子どもでダブルリミテッド(セミリンガル)に陥りそうになっている子どもがいました。

3歳までの3年間で、他のインターナショナルスクールに行き、家庭でも英語教育をしてきたそうです。

ダブルリミテッドについて、保育現場で感じたことをお伝えします。

言葉でコミュニケーションが取れない

言語によるコミュニケーションが取れないので、集団生活ができないです。

3歳児ともなると、先生たちの言うことを理解しているのですが、これができないのです。

 

そうなると、先生たち指示(トイレに行く、教室を移動するなど)が通りません。

その子どもが保育園でどういう状態かというと、自分の好きなことだけをやろうとするようになります。

 

家庭での状況も保育園生活に影響してきますが、言葉でのコミュニケーションは集団生活では大事です。

論理的思考ができない

言語での理解ができない子どもは論理思考ができません。

例えば、言葉の発達が不十分な子どもが、保育園の友達を叩いたとします。

そうすると、先生は怒って「友達が嫌がることだから止めようね」という指導をします。

 

この場合だと、

先生が怒っていることは理解している。

ただ、先生が言ってる「友達が嫌がるから止めよう」というところが理解できていません。

そうすると、その子どもはまた同じように友達を叩きます。

なぜなら、何が原因で先生が怒っているのか理解できていないからです。

 

状況がひどい場合、保育現場によっては、発達障害を疑われることもあり、家庭との連携が必要となります。

このまま言語能力が低ければ、小学校に上がった時にその子が苦労するのが目に見えています。

ストレスがたまる

自分の言いたいことが伝えれないので、子どものストレスも溜まります。

そのため、物を投げたり、暴力的になったり、感情の起伏が激しかったりします。

 

先ほどは先生の指示が通らないという話でしたが、逆に言えば、子どもは自分がしたいことを上手く言えないのです。

何を言いたいのか上手く伝えられないため、モノや人に当たります。

 

言語習得が不十分なために、子どもがストレスを感じるようになってしまいます。

これは、ダブルリミテッドになる子どもに限らず、言語習得が遅い子どもによくある現象だと思います。

言葉が発達するにつれて、この暴力性や感情の起伏も収まってきます。

家庭では日本語、学校では英語

英語教育に熱心な家庭は、子どもにバイリンガル教育をしようと考えます。

しかし、英語を習得するには、日本語を習得しなければいけません。

子どもが日本語を習得するためには、家庭では日本語で話すべきです。

 

先ほどからお伝えしているように、母語(日本語)がベースにないと言語教育はできません。

学校でも英語、家でも英語を学ばせ、親とのコミュニケーションは日本語という状況だと子どもは混乱します。

幼児期の子どもが家でも英語教育をしていると、親とのコミュニケーションの時間が短くなります。

母語の言語習得が遅くなるので、結果的に英語も伸びません。

 

ハーフの子どもの場合も同じです。

お父さん、もしくはお母さんのどちらかが外国人の場合も、まずは母語を何にするかを決めるべきです。

日本に住んでて、お母さんと接する機会が多いなら、日本語をまずは覚えた方が良いでしょう。

子どもに合わなければ方針転換も必要

親の過度な期待は禁物です。

早期の英語教育が子どもにとって合っていなければ、小学校に入ってからでも英語教育は遅くはありません。

 

これはインターナショナルスクールの保育現場を見てきた意見です。

英語教育が熱心な親で、かつ富裕層の子どもほど、攻撃性が高い傾向があるように感じます。

親の期待を子どもが一生懸命守ろうとするあまり、子どもに心理的な負担がかかっている場合があります。

 

まずは、子どもの心身の健やかな成長が第一と考えます。

子どもの様子が最近変だなと思えば、保育園や幼稚園の先生と相談してみるのもありだと思います。

幼児期では英語教育よりも人格形成が大事です。

まとめ

今回、この記事では幼児期の英語教育のリスクをテーマにしてみました。

なので、強烈に感じた親御さんもいらっしゃるかもしれません。

個人の意見として、幼児期の英語教育は賛成しています。

私自身が30歳を過ぎて、英会話をできるようになるまでは、結構苦労したからです。

幼少期に英語を話せるようになったり、話すベースを作っておくことはとても大事です。

 

この記事で伝えたいことは子どもに無理のない範囲で英語教育をすることです。

そして、母語(日本語)をしっかりと育てることを基本にして欲しいことです。

 

我々の学校もインターナショナルスクールですが、そこまでお勉強重視ではありません。

英語教育を重視する保育園から私が働く保育園に転園してきている子どもも多くいます。

大抵の場合、英語教育を重視するあまり、日本語が育っていない、集団生活ができないという問題を抱えています。

 

幼児期の英語教育の開始時期については、子どもの言葉の成長をみながら、いつ始める検討してみてはいかがでしょうか?

 

以下、子どもに特化したWebサービスです。こんなのもあるよという感じで記載しておきます。

 

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