医者というのは男性の職業という印象が日本ではいまだに強いです。しかしながら、医者と言えば女性を連想させる国もあります。
世界を見てみるとジェンダー的な観点から職業をみることはとても興味深いのですが、女性の社会進出がテーマの現在では、偏った性別の職業はあまり好ましいと考えられていません。
日本では女性医師と会う機会は個人的にも少ないように感じます。
風邪やインフルエンザになったときに内科を受診すると、男性医師が対応してくれます。個人的な経験で、女性の内科医には出会ったことはないと記憶しています。
では、実際に日本の女性医師の割合はどの程度で、世界と比較するとどのようになっているのか、ランキングを見ていきましょう。
世界の女性医師割合ランキング
(順位/国名/女性医師の割合)
1位 | エストニア | 73.8% |
2位 | スロベニア | 58.3% |
3位 | ポーランド | 55.7% |
4位 | フィンランド | 55.5% |
5位 | スロバキア | 54.8% |
6位 | チェコ | 53.0% |
7位 | ハンガリー | 52.3% |
8位 | ポルトガル | 49.0% |
9位 | スペイン | 47.5% |
10位 | スウェーデン | 44.6% |
11位 | デンマーク | 44.2% |
12位 | オランダ | 43.5% |
13位 | オーストリア | 42.9% |
14位 | イギリス | 41.8% |
OECD平均 | 41.5% | |
15位 | ドイツ | 40.6% |
16位 | イスラエル | 40.5% |
〃 | ノルウェー | 40.5% |
17位 | フランス | 39.7% |
18位 | ニュージーランド | 39.6% |
19位 | カナダ | 37.2% |
20位 | アイルランド | 37.0% |
21位 | トルコ | 36.7% |
22位 | イタリア | 36.1% |
23位 | オーストラリア | 35.1% |
24位 | スイス | 34.7% |
25位 | ベルギー | 34.0% |
26位 | チリ | 32.7% |
27位 | アイスランド | 31.1% |
28位 | アメリカ | 30.8% |
29位 | ルクセンブルグ | 27.9% |
30位 | 韓国 | 19.3% |
31位 | 日本 | 18.0% |
※厚生労働省HPを参照ー「医師・歯科医師・薬剤師調査の概要」2014年版
日本はOECD加盟国で最下位
OECDとは、Organisation for Economic Co-operation and Developmentのことで、日本語では『経済開発協力機構』と言われています。ニュースなどでもよく耳にすることもあると思いますが、概要を簡単に説明します。
本部はフランスのパリに置かれ、経済成長、貿易自由化、途上国支援に貢献することを目的としています。参加加盟国は、2018年現在で37ヵ国です。国連は平和維持活動に焦点を当てた国際機関ですが、国連の経済・貿易版と考えると分かりやすいと思います。
そのOECD加盟国の中で、日本は2014年の調査では女性医師の割合は18.0%と最下位になっています。他の先進諸国と比べても女性の社会進出そのものが遅れていますから、驚くべきことではないかもしれません。
厚生労働省の発表によると、医学部生の女子の割合は3割となっていますので、今後は女性医師が現状より増えることも予想されます。
しかし、根本的に女性医師が活躍できる環境を整備していく必要があるでしょう。不正入試問題のように大学側が女子受験者の合格者を減らしていることが社会問題として新聞やニュースで取り上げられましたが、これはまだまだ氷山の一角なのかもしれません。
海外での医師という仕事の認識
女性医師の割合が高い国では『医師』という職業は女性にとっては小さい頃からの憧れでもあります。日本ではかなり多忙な仕事という認識の人が多いのではないかと思いますが、世界的に見るとそうではありません。
北欧や東欧、女性医師の割合が高いモンゴルでは1日の労働時間も8時間程度と他の職業と比べても同じくらいです。
さらに、『医師』としての仕事は社会的なステータスはもちろんですが、免許制度であるため、女性の場合は出産や育児休暇を取得しても復帰しやすい職業であるという認識です。
医師免許を一度取れば、特殊な資格で人々の生活に必要不可欠な仕事であるため、仕事探しには困らないという認識を持っています。
医師の働き方は、日本と比較してかなり働きやすい環境であることは間違いありませんが、一方で、大きな病院を受診するためには時間がかかるなど、医療サービスはそれほど充実していません。
日本も同じような医師の働き方をするのであれば、患者側が今の日本の医療サービスの利便性を我慢する必要があります。
まとめ
女性医師の問題は世界でも日本だけではなく、世界でも多くあります。インドやその周辺の国では女子医学生の割合が男子医学生よりも高いのですが、医療現場で働く女性はまだまだ少ないため、女性の医療現場経験者を増やそうとしています。
エストニアに関しても女性医師の割合はOECDの中で73.8%と最も高いのですが、給与水準が他のヨーロッパ諸国に比較して低いため、優秀な医師が他国へ流出しているという問題も起きています。
女性医師の働き方は世界で様々な取り組みが行われていますが、現段階では試行錯誤中だと言えるでしょう。だからこそ、上手くいった制度などを世界中で共有することで、さらに住みやすい社会が世界中に生まれることを望みます。
このサイトでも世界での様々な成功体験、失敗体験などの情報発信をしていければと考えています。
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