人口を維持するために必要な出生率は2.07で、子供を3人産むかどうかがポイントになっていると言われています。そうは言っても、現在の日本では子供を3人育てるとなるとかなり大変です。
フランスでは出生率が下がる傾向にありましたが、90年代以降出生率が上がっています。なぜフランスでは子供を産もうとしている人が日本に比べて多いのでしょうか。
今回は、フランスの子育て制度についてまとめました。
育児休暇が長い
フランスの政策として育児休暇は3年間取得できます。さらに、育児休暇を終えて職場復帰した時に以前と同じ地位で働くことが法律で決められています。
日本の育児休暇は原則として1年、場合によっては1年半ですので、フランスの育児休暇はかなり長いことが分かります。そして、職場に戻っても同じ地位が守られているかどうかは会社次第です。出産後も仕事を続けたいと考えている女性にとっては自分のキャリアを中断することに躊躇してしまいますね。
3人目を生みやすい政策
フランスでは3人子供を産むと所得税がほぼ半額になります。例えば、所得が円で計算した場合630万円だったとします。子供2人の場合は、所得税が約32万円。子供3人の場合は約16万円まで減額されます。
人口を維持するための出生率2.07人をキープしようとすると「子供3人」というのが重要な政策になります。子供がいない夫婦が1人の子供を持つというのは少しハードルが高いかもしれませんが、2人子供のいる家庭が3人目の子供を持つことはそれほどハードルは高くないだろうということですね。
この政策によって、お金持ちほど子供が生みやすい環境が生まれますし、3人目の子供を持つことで「家族手当」以外に「家族補足手当」がもらえたり、年金が10%加算されたりと優遇政策も少子化に歯止めをかけています。
事実婚の認定
フランスでは事実婚、いわゆる婚姻届を出さないカップルも多くいて、ユニオンリーブル(自由縁組み)という生き方が社会的にも認められ、事実婚カップルの子供は56.7%と正式な夫婦よりも多いのです。
日本だと、事実婚カップルの子供の場合、戸籍上かなりややこしい問題を抱えることになりますが、フランスでは事実婚カップルの子供であろうと婚姻届けを出している正式な夫婦の子供であろうと同等の扱いとなります。
フランスはカトリックの国なので、一度結婚すると離婚できないという制度になっています。そのため、実際には結婚しているけれども、届け出を出していないカップルも多く存在しています。
その他の制度
フランスは保育サービスについても、3歳までの子供は自宅で子供の世話をしてくれる認定保育の家庭があったり、低額のベビーシッターを簡単に利用することができます。さらに、3歳以上の子供は公立の保育学校に入学することができます。保育学校は義務教育に位置づけられているためほぼ100%行くことができます。
母親も仕事に復帰するときに時間短縮などの選択肢が用意されているため、80%以上のフランス人女性が仕事をしています。女性の活躍が世界で求められる中、先進国の中で最も高い数字となっています。
最後に
日本を振り返った時に、思うことがあって、私は30代半ばになろうとしていますが私たちの世代では「男は仕事、女は家庭。」という理想像を変えなきゃいけないという意識がありながらも、未だにその残像があると感じることが多いです。
一般職とか、事務職とか私が大学を卒業して就職した時にはそういった女性のための職(表向きは法律に触れるため男女関係ないように表現だった)がありましたが、そういった職についた女性のほとんどが「寿退社して、専業主婦になりたい」と言っていましたし、今もそう思っている人がほとんどです。
フランスのような制度は憧れますが、それだけで本当に日本も女性が社会で活躍できる社会になるのでしょうか。
私が大学を卒業するときにジェンダーをテーマにアンケート調査をしたり、統計をとったりして論文を書き、70年代に比べ意識は変わっているものの「男は仕事、女は家庭」に変わる理想像が必要だと結論しました。しかし、10年経過した今でも新しい理想像が見当たりません。
社会制度や子供を産みやすい環境を整えることはもちろん、「男も女も社会に貢献する」という理想像が必要だと思います。その理想像は、実際の夫婦でもいいし、マンガやアニメやドラマの主人公でもいいし、こうなりたいと思えるものが私たちが生きる社会に必要だと思います。
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